はじめに
小原和紙の持つ、素材と触れ合う楽しさや自由さといった手漉きならではの魅力を伝えたいと思い、おうちで小原和紙の魅力や”つくる楽しさ“を感じられるようなものとして体験キットを開発しました。
「いえすきキット」という名前には、”絵漉き““家で漉く“ということのほかに”おうち時間が好きになる“という意味が込められています。 小原和紙の体験と、その後。できた作品を眺める時間を含めてわくわく楽しい時間を過ごしていただけたらと思います。
小原和紙のいえすきキットの使い方
セット内容
・漉き枠
・アクリル板2枚
・楮(コウゾ)
・トロ
・染色繊維(赤青黄)
・スポイト
・ピンセット
・小原和紙のパンフレット
※体験後、漉き枠は額縁としてご使用ください
用意するもの
・計量カップ
・大きい容器 容量1L程度ひとつ
・小さい容器 容量250ml程度4つ
・紙コップ 容量200ml程度1つ
・冷たい水 約1.3L
※容器は容量があれば他のもので代用していただいて構いません。できるだけ底の広いものをご用意ください。
いえすきキットの使い方
いえすきキットの使い方を紹介します。わかりにくい工程には動画がありますのでそちらを参考にしてください。
1 紙を漉く場所をつくる
舟(ふね)と呼ばれる和紙を漉くための水槽を用意します。段ボール箱にビニール袋を広げたり、大きめのバケツを用意したり、それぞれのおうちのできるかたちで舟をご用意ください。
2 トロを用意する
小さな容器にトロと水200mlを入れ粉が溶け切るまでかき混ぜます。
トロを使うと水がとろみのある水に変化します。本来、トロをつくるにはトロロアオイというオクラに似た植物を使用しますが、生産者の減少やキットの郵送のため今回は代替品の化学粉末を使用しています。
冷たい水を使い、3分ほど置いておくとよく粘りの効いたトロになります。
〈トロロアオイ〉
3 ざぶり
大きな容器に楮(こうぞ)を入れ、水900mlを加えます。その後、指を立てるようにしてざばざばと楮と水がよく合わさるまでかき混ぜます。目安は200回程度です。
ざぶりは楮と水を合わせる作業で先の分かれた竹製の道具を使いますが、今回は手で代用しています。
〈楮〉
和紙の材料になる植物のひとつです。小原地区には昔から楮がおおく生えていたため、丈夫な和紙が作られるようになりました。背が高く、成長が早いことが特徴です。
〈できあがり〉
楮が離れ、楮の塊がなくなるのが目安です。
4 紙料づくり
ざぶりを終えたら、先ほどのトロを100ml、少しずつ加えかき混ぜます。残りの半量はこのあと使うので取っておいてください。
かき混ぜる時には指を広げ、容器の底で手を振るようにします。
紙料(しりょう)は船水(ふなみず)とも呼ばれ、和紙の元となります。粘りのあるトロを加えることで、楮が沈むことなく水と均一に混ぜ合さります。また紙料が網から抜けるのもゆっくりになるので作業がしやすいという利点があります。
ざぶりのときと比べ、音が丸く変化していきますので注目してみてください。
〈できあがり〉
楮が完全に混ざり見えなくなるのが目安です。
音や触り心地にも注目してみましょう。
5 染色繊維を用意する
赤青黄の染色繊維をそれぞれ小さな容器に入れ、水を50mlずつ加えかき混ぜます。
染色繊維はパルプという紙の元を染めたもので、たくさんの色があります。小原和紙の特徴である絵漉きにはこの染色繊維がかかせません。
6 染色繊維とトロを混ぜ合わせる
残りのトロを1/3ずつ加えかき混ぜます。
7 網を濡らす
舟を用意し、その上で漉き枠の網をしっかりと水で濡らしておきます。こうすることで乾いた後のわしが剥がしやすくなります。
8 紙料を流し込む
舟の安定して置けるところに漉き枠をおき、紙コップ一杯分の紙料を流し込みます。
1ヶ所から一気に流し込みましょう。
9 紙を漉く
漉き枠を両手で持ち、紙料をめぐらせるように大きく動かします。
10 繰り返す
8、9の工程を紙料がなくなるまで繰り返します。2回目以降紙料を流しこむときには和紙に穴を開けてしまわないように一度でも手で受けるようにしてください。
〈7~10 紙漉き〉
11 絵漉き
染色繊維や水などを使って絵漉きをします。水が引くまで少し待つと絵模様を作りやすいです。
12水を引かせて天日干し
絵漉きが終わり、作品が完成したら舟に水平な状態で10分ほど置き水が引くのを待ちます。水が引いたら、屋外の壁などに立てかけて天日干しをします。
飾り方
乾いた和紙はピンセットを使い端からゆっくりと剥がしていきます。キット内のアクリル板に挟み込み、漉き枠横の溝から差し込むと額縁として飾っていただけます。アクリル板を差し込む時には、ピンセットで押し込むようにすると綺麗にできあがります。
片付け方
余った楮や染色繊維を水道に流す時にはネットを使うなど繊維がつまらないようにご注意ください。
トロは一晩ほど置いておくと水の状態に戻るのでそのまま流してしまって構いません。